日本刀Q&A

登録に関するQ&A

Q 刀の登録証って何ですか?

A.
一般的に登録証と呼んでいますが、正式な名称は「銃砲刀剣類登録証」といいます。この登録証はあくまで刀や火縄銃等の美術的価値があるものに対して交付されるもので、日本国政府が認めた刀や火縄銃の戸籍のようなものです。登録証の交付された刀は文化庁で美術品もしくは骨董品として価値のあるものとして認められたものですから大切に保存しましょう。

Q 登録の対象となる刀とは?

A.
日本刀本来の鍛錬方式によって制作された刀剣類(太刀・刀・脇指・短刀・槍・なぎなた・剣)等や古式銃砲等の名称の付くものは全て対象となります。

Q 登録の対象となる古式銃砲とは?

A.
当然古式銃砲にも刀と同様登録証は必要です。日本の古式銃にはおおむね慶応三年(一八六七)以前に製作されたものというのが登録鑑定の基準となっています。

Q サーベルには登録証は必要ですか?

A.
サーベルというのは、明治以降軍人や警察官が腰に下げた西洋風の外装様式の刀剣を指しますが、このサーベルの刀身が、本来の日本刀であれば当然登録の対象となり、外国製の刀剣には登録証は交付されません。

Q 真っ赤に錆びた状態の刀でも登録証は取れるのですか?

A.
もちろん登録証は交付されます。刀の発見届けをするときは、発見された状態で届け出をしなければなりません。ですから発見届けが終わるまではいくら錆びていても研ぎや修理工作は出来ませんので注意しましょう。希に発見届けが済んでから、登録審査の期日までに、ひどい錆の場合は「窓明け」といって、刀の一部だけを研磨して登録審査会場に持っていく場合があります。これは錆びている状態で、果たして美術品もしくは骨董品として価値があるか正確な判断ができない場合に行われます。こういったことはごく希ですので各教育委員会や、審査員の指示に従うと良いでしょう。

Q 模造刀にも登録証は必要ですか?

A.
芝居あるいは居合いならびに儀仗用の模造刀剣などには登録証はいりません。ただしこの模造刀の場合にも金属製であって、本物の刀剣類に著しく類似するものは、正当な理由がなければ、その所持が禁止されておりますので注意しましょう。

Q 刀を買ったり譲り受けたりする場合にはどのような手続きが必要ですか?

A.
登録証の付いている刀は、登録を受けた人にとどまらず誰でもこれを持つことができ、不動産や車の購入等のような所有権移転の手続き等は一切不要ですが、その刀を入手した日から二十日以内に登録証の記載事項をもれなく記入して、その刀の登録されている各都道府県教育委員会宛に、元の所有者の住所、氏名そして自分の住所、氏名日付を書いて捺印した、銃砲刀剣類等所有者変更届を郵送する必要があります。

Q その場合、警察への届け出や許可を受ける必要はないのでしょうか?

A.

登録証の交付されている刀は、文化庁長官の監督のもとに、各都道府県教育委員会の委託を受けた登録審査員が、美術品あるいは骨董品的価値のあるものと認めたものですから、売買や譲渡に関して警察への許可や届け出の必要はありません。ただし、むやみに持ち歩いたり、刀とわからないような外装に入れたりすると携帯や変装刀剣類の規制にふれ罰せられます。

Q 登録証を紛失したのですが?

A.
登録証の再交付は正当な理由(盗難・焼失・紛失等)がないかぎり原則としては再交付を受けることは出来ません。登録証は大切に保管することと同時に、登録証の番号(コピー)を控えて置くことをお勧めします。万一紛失した場合は速やかに各都道府県の教育委員会に届け出て登録証の再交付を受けて下さい。登録証の番号などが確認できるものに限り再交付が可能です。

Q 海外へ刀を持ち出したいのですがどうすればよいのですか?

A.
飛行機での持ち出しや郵便で送れるのだろうかと心配されると思いますが、問題ありません。ただし事前に手続きが必要です。
登録されている刀剣は立派な美術品なので、文化庁文化財保護部美術工芸課に申請を出して、国指定の文化財(国宝・重要文化財・重要美術品)に該当しない刀剣であることの証明書を交付してもらわなければなりません。
申請書と持ち出そうとする刀剣の登録証を提出しますと、約二週間後に証明書が交付されます。(遠隔地の方は郵送でも受け付けてもらえます。また関西以西の方は京都国立博物館普及室輸出監査係でも受け付けています。)持ち出そうとする刀剣とこの証明書を税関に提出すれば持ち出しは問題ありません。
詳しくは下記へ問い合わせ下さい。

◆文化庁美術工芸課
〒100-0013 東京都千代田区霞ヶ関3-2-2
TEL 03-3581-3632

Q 海外旅行をして海外から日本刀を持ち込む場合はどうですか?

A.
海外より日本刀を持ち込む場合は、空港警察に申告し、持込み許可証を発行してもらいます。この『持込み許可証』が発見届書の役目を果たし、後に居住地の教育委員会で鑑定を受け、登録証を交付してもらう手順は、国内で刀が発見された場合と同じです。ただし美術刀剣以外のものは国内へ持ち込めない場合がありますので日本刀以外の外国製の刀剣はむやみに持ち込むのは差し控えたほうがよいでしょう。


刀に関するQ&A
Q 研ぎは自分でできるものですか?

A.
これはお勧めできません。素人の方が研磨して成功した例は極めてまれです。錆びている部分があるからといってそこに砥石を当ててしまうと取りかえしがつかなくなる場合があります。刀は包丁ではありません。現在でも刀剣を研磨する職人が多数います。性能のよい砥石をたくさん使って愛情を込めて綺麗にしてくれます。研ぎ師の人は十年以上の修業を積んで一人前といわれる位難しい職業です。研ぎ師の中には重要無形文化財保持者(人間国宝)に指定されている方もいる位です。研ぎ師が見つからなければ刀剣商に相談して下さい。

Q 刀剣の評価鑑定をするところを知りたいのですが?

A.
評価鑑定のご相談は全国刀剣商業協同組合にお気軽にご相談下さい。刀剣類の評価は、制作者や知名度、出来具合あるいは制作年代、保存状態、寸法、伝来等の貴重性が加味されて決定されます。ですから同じ作者でも一振り一振り評価は異なります。電話でよく「○○と銘のある刀があるのですが幾ら位ですか?」と問い合わせる方が非常に多いのですが、その評価はどこの刀屋さんでも答えてはくれません。刀や付属する外装および鑑定書類等を持って刀屋さんに相談すると良いでしょう。電話でのお答えは不可能です。

Q 刀を修理工作したいのですが?

A.
刀剣類の研磨や諸工作も信用ある刀剣商にご相談されることをお勧めします。ここで注意しなければならないことは、必ず預かり証をもらうことと、幾ら位で仕上がるか予算を出してもらうことです。信用ある刀剣商であれば、工作しようしする刀剣に応じてそれぞれの職人を選んで予算を出してくれるはずです。

Q 刀剣類に鑑定書を付けてもらいたいのですが、どこへ持って行けばよいのでしょうか?

A.
刀剣の審査機関はいくつかありますが、ほとんど東京に集中しているのが現状です。主な機関として財団法人・日本美術刀剣保存協会があります。またいくつかある審査機関は毎日行っているわけではありませんのでお近くの刀剣商に相談してどの鑑定機関に出すか意見を聞きながら刀剣商に委ねるのもよいでしょう。鑑定機関によっては1~2か月預けるところもあります。鑑定料は機関によって異なりますが大体1万円から2~3万円位です。